黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
翌日回復した私は寝室を出てリビングに向かった。
八重樫君はダイニングテーブルに顔を伏せて眠っていた。パソコン作業をしながら寝てしまったようだ。
私はソファーの背もたれに掛かっていた、良さげなブランケットを取り、彼にかけた。
整理整頓された空間は八重樫君らしいとさえ思ってしまう。
つい、眠っている八重樫君の頭を撫でてしまう。
「ありがとう」
すると八重樫君は私の手首を掴み、顔を上げて見つめてきた。
この悪魔、いつから起きてたんだ?
「お礼はいいから今日からここに住んでくれる?」
悪魔が何か言っている。
悪魔語は分からない。
「何で返事しないの? 住んでくれなきゃ双葉と一緒に寝た事ーー」
脅してきた。
最悪だ。お金を脅し取られる犯罪者のような気分だ。
この男、いつまでも脅してくる。
「いい加減にしてくれる? これ以上脅すなら」
「脅してなんかいないよ。ただの交渉」
いや、これは脅しだ。
でも、これ以上脅すならの後が続かない。
私に残された選択肢は会社を辞めるかみんなに八重樫君の悪行を洗いざらい教える。
ただ、これはどちらも私に不利な事だ。
私はもう、詰んでいる。
「じゃあ、これ以上脅さないって約束する?」
「だから脅してないって」
「私たちの事、誰にも言わない、今後何があっても口外しない、交渉材料に使わない。それでいい?」
「もちろん。双葉の傍に居られるならなんでもいいよ」
なんだ、最後のセリフ。まるで私を好きみたいじゃないか。
傍でからかうことができるから楽しいでしょとか言ってくれないと私が大きな勘違いをしちゃうじゃないか。
八重樫君から家の合鍵を受け取り、私は一度家に帰ってシャワーを浴び、出社した。
私達の休みが重なった事に疑問を抱く人は一人もいなかった。
それだけ私と八重樫君は別次元の人だと思われているらしい。
休みに溜まった仕事を終わらせて、家の最寄り駅まで帰ると今朝も家まで送ってくれた運転手が私に向かって微笑んでいた。
「おかえりなさいませ。双葉様。どうぞこちらへ」
初めて彼が長々と話す声を聞いた。
「大丈夫です。家まで歩いて帰れるので」
「蓮お坊ちゃまの言いつけでございますのでどうぞ」
お、お坊ちゃま。笑える。
いや、笑えない。
そんな風に言われる人と今日から一緒に暮らすのか?
ってか、八重樫君、君は一体何者なのさ。
やんわりと運転手さんに聞いてみたがものの見事に交わされた。
家に帰り当分必要な物をカバンに詰めて、運転手さんに手伝ってもらいながら車に乗り込んだ。
八重樫君の家に着くと、玄関を開けた途端に美味しそうな香りに包まれた。
「それでは、私はここまで」
そう言って運転手は荷物を玄関に置き、去って行った。
とりあえず、荷物は置いたまま、リビングに向かう。ドアは開け放たれていたのでそのまま進むとダイニングテーブルの上には美味しそうな晩御飯が並べられていた。
「どうしたのこれ?」
「おかえり。作ってみた」
これが世に言う早く家に帰りたくなる理由か。
疲れて帰ってくると愛する人が笑顔で出迎えてくれて、食欲をそそるご飯を用意してくれている。
八重樫君はダイニングテーブルに顔を伏せて眠っていた。パソコン作業をしながら寝てしまったようだ。
私はソファーの背もたれに掛かっていた、良さげなブランケットを取り、彼にかけた。
整理整頓された空間は八重樫君らしいとさえ思ってしまう。
つい、眠っている八重樫君の頭を撫でてしまう。
「ありがとう」
すると八重樫君は私の手首を掴み、顔を上げて見つめてきた。
この悪魔、いつから起きてたんだ?
「お礼はいいから今日からここに住んでくれる?」
悪魔が何か言っている。
悪魔語は分からない。
「何で返事しないの? 住んでくれなきゃ双葉と一緒に寝た事ーー」
脅してきた。
最悪だ。お金を脅し取られる犯罪者のような気分だ。
この男、いつまでも脅してくる。
「いい加減にしてくれる? これ以上脅すなら」
「脅してなんかいないよ。ただの交渉」
いや、これは脅しだ。
でも、これ以上脅すならの後が続かない。
私に残された選択肢は会社を辞めるかみんなに八重樫君の悪行を洗いざらい教える。
ただ、これはどちらも私に不利な事だ。
私はもう、詰んでいる。
「じゃあ、これ以上脅さないって約束する?」
「だから脅してないって」
「私たちの事、誰にも言わない、今後何があっても口外しない、交渉材料に使わない。それでいい?」
「もちろん。双葉の傍に居られるならなんでもいいよ」
なんだ、最後のセリフ。まるで私を好きみたいじゃないか。
傍でからかうことができるから楽しいでしょとか言ってくれないと私が大きな勘違いをしちゃうじゃないか。
八重樫君から家の合鍵を受け取り、私は一度家に帰ってシャワーを浴び、出社した。
私達の休みが重なった事に疑問を抱く人は一人もいなかった。
それだけ私と八重樫君は別次元の人だと思われているらしい。
休みに溜まった仕事を終わらせて、家の最寄り駅まで帰ると今朝も家まで送ってくれた運転手が私に向かって微笑んでいた。
「おかえりなさいませ。双葉様。どうぞこちらへ」
初めて彼が長々と話す声を聞いた。
「大丈夫です。家まで歩いて帰れるので」
「蓮お坊ちゃまの言いつけでございますのでどうぞ」
お、お坊ちゃま。笑える。
いや、笑えない。
そんな風に言われる人と今日から一緒に暮らすのか?
ってか、八重樫君、君は一体何者なのさ。
やんわりと運転手さんに聞いてみたがものの見事に交わされた。
家に帰り当分必要な物をカバンに詰めて、運転手さんに手伝ってもらいながら車に乗り込んだ。
八重樫君の家に着くと、玄関を開けた途端に美味しそうな香りに包まれた。
「それでは、私はここまで」
そう言って運転手は荷物を玄関に置き、去って行った。
とりあえず、荷物は置いたまま、リビングに向かう。ドアは開け放たれていたのでそのまま進むとダイニングテーブルの上には美味しそうな晩御飯が並べられていた。
「どうしたのこれ?」
「おかえり。作ってみた」
これが世に言う早く家に帰りたくなる理由か。
疲れて帰ってくると愛する人が笑顔で出迎えてくれて、食欲をそそるご飯を用意してくれている。