黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
2人で来ていたらこんなにもドキドキするはずがないのに、バレるのではないかという緊張感も相まって私の心臓は最速で動いていた。
ショーの最後にドルフィントレーナーが体験してみたい人を募り、見事に星羅ちゃんが選ばれた。
星羅ちゃんはモジモジと恥ずかしそうにしながらも部長と一緒にステージに上がっていた。
今、私の手は八重樫君に繋れて彼の太ももの上に置かれている。
2人でデートに来たみたいだ。
星羅ちゃんが私達を見つけて恥ずかしそうに手を振っている。
お互い空いた方の手で手を振ると星羅ちゃんは恥ずかしさが吹き飛ばされたのか振っている腕を大きく振り始めた。
見ていてくれる人がいるだけで自信がつき、元気になれることは私も八重樫君がいてくれたお陰で学べた。
きっと今、星羅ちゃんもそんな心境なのだろう。
八重樫君はスマホを取り出し、ムービーを撮り始めた。
本当に気がきく人だ。
星羅ちゃんが指示を出すとイルカは見事に宙を舞った。
部長は星羅ちゃんを誇らしげに見つめながら頭を撫でている。
戻ってきたイルカに星羅ちゃんも頭を撫でてあげている。
とても心が癒される素敵な時間だった。
星羅ちゃんの出番が終わり、八重樫君はムービーを止めるとボソっとつぶやいた。
「あんな子供欲しいな」
子供……か。
今では40代での初産も当たり前の時代だが、それでも30を過ぎた私には色々な不安がある。
子供が欲しいと言うならいち早く結婚しなければと思うが、八重樫君は同世代の子と結婚した方が断然良いだろうとも考えてしまう。
いやいや、そもそもあの言葉は私に向けられたものではなく、ごく一般的な感想を述べただけかもしれない。
1人でモヤモヤしている自分が嫌だ。
その日が来るまでの1日、1秒を私は胸に刻んでいくだけだ。
大切に宝箱にしまうために。
その後も星羅ちゃんの思うがままに水族館を周り、八重樫君は星羅ちゃんに可愛いイルカのぬいぐるみをプレゼントし、ほっぺにキスをもらっていた。
「星羅はもう私よりも八重樫君だな」
夕焼けの中で残念そうに言う部長は憂いを帯びて一段と素敵さが増していた。
「星羅ちゃんにとってはずっと部長がNo. 1ですよ」
「二条君は優しいな」
私達が星羅ちゃんを見ながら微笑んでいると星羅ちゃんは、「えーやっぱり怪しい! 双葉ちゃんはパパの彼女? うーん、双葉ちゃんは地味だけどいい人だから悩むなぁ」と部長の傍に来てちゃっかり手を取り私のパパだよと主張してきた。
星羅ちゃんにとってはいつまでも部長は大切なパパなのだ。
部長は、星羅ちゃんの可愛らしい誤解を解きながら車に向かっていた。
微笑ましい二人とは裏腹に星羅ちゃんに見捨てられた八重樫君は少しご立腹のようだ。
「俺といるより部長との方が楽しいの?」
おっと、ご立腹なのは私に対してのようだ。
「何言ってんの? 私は蓮がいるから楽しいんだよ。星羅ちゃんにキスされてデレデレしている蓮は新鮮だったなぁ」
「デレデレしてないよ」
八重樫君はそう言って一歩前を歩き始めた。
帰りの車では星羅ちゃんは後部座席に移り、八重樫君の隣を確保して楽しそうに今日あったことを振り返っていたが、流石に疲れたのだろう、そのうちスヤスヤと深い眠りについていた。
それから部長は楽しそうに八重樫君と話をしていた。
片手で楽々と運転しながら目尻に深い皺を浮かばせて笑いながら話す部長はかっこよく見える。
ショーの最後にドルフィントレーナーが体験してみたい人を募り、見事に星羅ちゃんが選ばれた。
星羅ちゃんはモジモジと恥ずかしそうにしながらも部長と一緒にステージに上がっていた。
今、私の手は八重樫君に繋れて彼の太ももの上に置かれている。
2人でデートに来たみたいだ。
星羅ちゃんが私達を見つけて恥ずかしそうに手を振っている。
お互い空いた方の手で手を振ると星羅ちゃんは恥ずかしさが吹き飛ばされたのか振っている腕を大きく振り始めた。
見ていてくれる人がいるだけで自信がつき、元気になれることは私も八重樫君がいてくれたお陰で学べた。
きっと今、星羅ちゃんもそんな心境なのだろう。
八重樫君はスマホを取り出し、ムービーを撮り始めた。
本当に気がきく人だ。
星羅ちゃんが指示を出すとイルカは見事に宙を舞った。
部長は星羅ちゃんを誇らしげに見つめながら頭を撫でている。
戻ってきたイルカに星羅ちゃんも頭を撫でてあげている。
とても心が癒される素敵な時間だった。
星羅ちゃんの出番が終わり、八重樫君はムービーを止めるとボソっとつぶやいた。
「あんな子供欲しいな」
子供……か。
今では40代での初産も当たり前の時代だが、それでも30を過ぎた私には色々な不安がある。
子供が欲しいと言うならいち早く結婚しなければと思うが、八重樫君は同世代の子と結婚した方が断然良いだろうとも考えてしまう。
いやいや、そもそもあの言葉は私に向けられたものではなく、ごく一般的な感想を述べただけかもしれない。
1人でモヤモヤしている自分が嫌だ。
その日が来るまでの1日、1秒を私は胸に刻んでいくだけだ。
大切に宝箱にしまうために。
その後も星羅ちゃんの思うがままに水族館を周り、八重樫君は星羅ちゃんに可愛いイルカのぬいぐるみをプレゼントし、ほっぺにキスをもらっていた。
「星羅はもう私よりも八重樫君だな」
夕焼けの中で残念そうに言う部長は憂いを帯びて一段と素敵さが増していた。
「星羅ちゃんにとってはずっと部長がNo. 1ですよ」
「二条君は優しいな」
私達が星羅ちゃんを見ながら微笑んでいると星羅ちゃんは、「えーやっぱり怪しい! 双葉ちゃんはパパの彼女? うーん、双葉ちゃんは地味だけどいい人だから悩むなぁ」と部長の傍に来てちゃっかり手を取り私のパパだよと主張してきた。
星羅ちゃんにとってはいつまでも部長は大切なパパなのだ。
部長は、星羅ちゃんの可愛らしい誤解を解きながら車に向かっていた。
微笑ましい二人とは裏腹に星羅ちゃんに見捨てられた八重樫君は少しご立腹のようだ。
「俺といるより部長との方が楽しいの?」
おっと、ご立腹なのは私に対してのようだ。
「何言ってんの? 私は蓮がいるから楽しいんだよ。星羅ちゃんにキスされてデレデレしている蓮は新鮮だったなぁ」
「デレデレしてないよ」
八重樫君はそう言って一歩前を歩き始めた。
帰りの車では星羅ちゃんは後部座席に移り、八重樫君の隣を確保して楽しそうに今日あったことを振り返っていたが、流石に疲れたのだろう、そのうちスヤスヤと深い眠りについていた。
それから部長は楽しそうに八重樫君と話をしていた。
片手で楽々と運転しながら目尻に深い皺を浮かばせて笑いながら話す部長はかっこよく見える。