黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
メガネを理由に乗るのを辞退すべきか。いや、無理だろう。
それにもう私は大人なんだし意外と乗ればいけるかもしれない。
あっという間に列は進み、1番前に星羅ちゃん、八重樫君。星羅ちゃんの後ろに部長そしてその隣に私という順番で座った。
安全バーが降ろされて、スタッフが固定されているかをチェックしに来た。
逃げたい、降りたい、今すぐギブアップしたい。
だが、もちろん私はなにも言わずに、目を瞑って安全バーを強く握りしめた。徐々に傾斜がついて行く。
「二条君、もしかしてこういうのダメだった?」
ようやく気が付いた部長が私に向かって話しかけてきた。
「大丈夫です」と私は目を瞑ったまま答えた。
「大丈夫です」と私は目を瞑ったまま答えた。
すでに頂上付近に差し掛かっていることは何となく分かっていた。大丈夫ではないが耐えるしかない。
八重樫君が目配せしてくれた時に、怖いと素直に可愛く助けを求めていればよかった。
内臓が全て天に召されるような感覚を何度も味わい私の人生2度目のジェットコースター体験は幕を閉じた。
たった数分だったが私の心臓と足はガタガタ震えていた。
「大丈夫か?」
乗物から降りる際に部長が私の手を取り、立ち上がられてくれた。
八重樫君は斜め前からすっと手を添えて私の体を支えてくれた。
「部長、二条さんは俺が見てるんで、星羅ちゃんと他の乗り物に乗ってきてください」
「そうか? すまんね二条君、八重樫君」
「ダメー! パパが双葉ちゃんを看病してあげて。蓮は私と海賊乗る!」
星羅ちゃんは私を支えている八重樫君にしがみついて離れようとはしない。
八重樫君は私を近くのテラス席に座らせて星羅ちゃんが強引に引っ張る手に負けて後ろ髪を引かれるように海賊へと向かっていった。
「すまないね。二条君」そう言って部長は買ってくれた飲み物を渡してくれた。
「いえ、もう大人だし、大丈夫かなと思ったんですが、逆にご迷惑をおかけしてすみません」
「いやいや、早く気がつくべきだったよ。これだから私は妻にも愛想尽かされたんだな。あはは」
部長の口から元奥さんの話が出るなんて思いもしなかった。
「そんな事ないと思いますよ」
「いや、私は女性の気持ちに中々気が付くことができないんだ」
そう言って部長は奥さんとの馴れ初めから別れるまでの経緯を教えてくれた。
部長と元奥さんは一回り以上も歳が離れていた。最初は仲が良く何もかも順調でこの人となら人生上手く行くと思っていたそうだ。
元奥さんが30代だったこともあり、付き合ってすぐに結婚し、星羅ちゃんが生まれ部長は家族の為にとそれまで以上に仕事に精を出した。
付き合っている時は、デートやメールの時だけ、言ってしまえば生活のほんの一部の時間を費やせば満足し、上手くいっていた関係も結婚して家族ができると生活のほとんどの時間を仕事と家族に取られ自分の時間が無くなったことに部長は不自由さを感じていたそうだ。
仕事をしていれば、空いた時間は自分に使える。そんな甘い考えから少しずつ夫婦の溝ができていったらしい。
奥さんとの会話も自分たちのことより子供のことやママ友の事。部長は子供を使ったマウントの取り合いをする親となんか仲良くしなくていいと奥さんに言って、話しをまともに聞かなかった。
それにもう私は大人なんだし意外と乗ればいけるかもしれない。
あっという間に列は進み、1番前に星羅ちゃん、八重樫君。星羅ちゃんの後ろに部長そしてその隣に私という順番で座った。
安全バーが降ろされて、スタッフが固定されているかをチェックしに来た。
逃げたい、降りたい、今すぐギブアップしたい。
だが、もちろん私はなにも言わずに、目を瞑って安全バーを強く握りしめた。徐々に傾斜がついて行く。
「二条君、もしかしてこういうのダメだった?」
ようやく気が付いた部長が私に向かって話しかけてきた。
「大丈夫です」と私は目を瞑ったまま答えた。
「大丈夫です」と私は目を瞑ったまま答えた。
すでに頂上付近に差し掛かっていることは何となく分かっていた。大丈夫ではないが耐えるしかない。
八重樫君が目配せしてくれた時に、怖いと素直に可愛く助けを求めていればよかった。
内臓が全て天に召されるような感覚を何度も味わい私の人生2度目のジェットコースター体験は幕を閉じた。
たった数分だったが私の心臓と足はガタガタ震えていた。
「大丈夫か?」
乗物から降りる際に部長が私の手を取り、立ち上がられてくれた。
八重樫君は斜め前からすっと手を添えて私の体を支えてくれた。
「部長、二条さんは俺が見てるんで、星羅ちゃんと他の乗り物に乗ってきてください」
「そうか? すまんね二条君、八重樫君」
「ダメー! パパが双葉ちゃんを看病してあげて。蓮は私と海賊乗る!」
星羅ちゃんは私を支えている八重樫君にしがみついて離れようとはしない。
八重樫君は私を近くのテラス席に座らせて星羅ちゃんが強引に引っ張る手に負けて後ろ髪を引かれるように海賊へと向かっていった。
「すまないね。二条君」そう言って部長は買ってくれた飲み物を渡してくれた。
「いえ、もう大人だし、大丈夫かなと思ったんですが、逆にご迷惑をおかけしてすみません」
「いやいや、早く気がつくべきだったよ。これだから私は妻にも愛想尽かされたんだな。あはは」
部長の口から元奥さんの話が出るなんて思いもしなかった。
「そんな事ないと思いますよ」
「いや、私は女性の気持ちに中々気が付くことができないんだ」
そう言って部長は奥さんとの馴れ初めから別れるまでの経緯を教えてくれた。
部長と元奥さんは一回り以上も歳が離れていた。最初は仲が良く何もかも順調でこの人となら人生上手く行くと思っていたそうだ。
元奥さんが30代だったこともあり、付き合ってすぐに結婚し、星羅ちゃんが生まれ部長は家族の為にとそれまで以上に仕事に精を出した。
付き合っている時は、デートやメールの時だけ、言ってしまえば生活のほんの一部の時間を費やせば満足し、上手くいっていた関係も結婚して家族ができると生活のほとんどの時間を仕事と家族に取られ自分の時間が無くなったことに部長は不自由さを感じていたそうだ。
仕事をしていれば、空いた時間は自分に使える。そんな甘い考えから少しずつ夫婦の溝ができていったらしい。
奥さんとの会話も自分たちのことより子供のことやママ友の事。部長は子供を使ったマウントの取り合いをする親となんか仲良くしなくていいと奥さんに言って、話しをまともに聞かなかった。