黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
そしてゆっくりと部長は話し始めた。
「前に、噂のこと聞いてきたよね。あの時は本当に何も知らなかったんだが、駒田君からあの後聞いたよ。すまんね。私が二条君に迷惑をかけてしまっているようで」
「いいえ、大丈夫です。そのうちみなさん忘れてくれると思うので」
「そうか。でも、辛くないか? 私はあまり分からんが、偶然女性社員達が君に対してあまりよくない態度を取っているというか、その、無視をしていると聞いてしまったんだ」
「大丈夫です」
それを気にしてくれたのか。
「私は仕事をしに会社に行っているので、仕事に支障がなければ問題ありません」
「そうか。二条君は強いな。でも何かあればいつでも私を頼ってくれ」
「ありがとうございます。お話はそれだけでですか? それであれば私はこれで」
「そんなに私と2人は嫌かな?」
「そういうことでは……」
「じゃあもう少しだけ付き合ってくれないかな?」
部長は私に微笑みかけた。
確かにお店に入って5分も経っていない。あとちょっとだけならと思い、その場に留まった。
「二条君は私のようなおじさんがこんな所に誘うのは嫌だったかな?」
「……いえ」
「良かった。ここくらいしか若い女の子が好む店は知らなくてね」
部長から見ると私は若い子なんだと思うと少し居心地が良くなった。
いつの間にか年下が増え、自分が年を取っていることを嫌でも気付かされる。
もう私は若くないんだと実感させられる。
でも、部長といれば私はまだ若いのだ。
部長はシェフに量を減らして、早めに料理を提供してもらうように依頼し、私達は暫く他愛ない話をしながら料理を堪能した。
そしてメインに差し掛かった時、部長は神妙な面持ちで話し始めた。
「二条君はいつも仕事を的確かつスピーディーに仕上げてくれるから私達はとても助かっているんだよ。営業事務は目立った仕事ではないが、営業がスムーズに仕事をするためには君たちの力がとても大切なんだ。それを気づいている人や感謝する人は少ないとは思うが、少なくとも私や課長は感謝している」
「ありがとうございます」
「少しでも二条君が仕事をしやすい環境を私は作りたいんだ。だから私の配慮不足で君が辛い思いをしているのなら無理はしないでくれ」
正直これまで仕事をしてきてこんなにも疎外感を味わった事はなかった。
自分から黒子に徹していたのとはわけが違う。
私への感謝と心遣いに自然と涙が溢れてしまっていた。
部長は私の頭を撫で始めた。
「大丈夫です」
部長に手を離してもらうため私が手をあげると部長はその手を握った。
「あの……」
「二条君」
そう言うと部長はとろんとした目で私を見つめてきた。
「前に、噂のこと聞いてきたよね。あの時は本当に何も知らなかったんだが、駒田君からあの後聞いたよ。すまんね。私が二条君に迷惑をかけてしまっているようで」
「いいえ、大丈夫です。そのうちみなさん忘れてくれると思うので」
「そうか。でも、辛くないか? 私はあまり分からんが、偶然女性社員達が君に対してあまりよくない態度を取っているというか、その、無視をしていると聞いてしまったんだ」
「大丈夫です」
それを気にしてくれたのか。
「私は仕事をしに会社に行っているので、仕事に支障がなければ問題ありません」
「そうか。二条君は強いな。でも何かあればいつでも私を頼ってくれ」
「ありがとうございます。お話はそれだけでですか? それであれば私はこれで」
「そんなに私と2人は嫌かな?」
「そういうことでは……」
「じゃあもう少しだけ付き合ってくれないかな?」
部長は私に微笑みかけた。
確かにお店に入って5分も経っていない。あとちょっとだけならと思い、その場に留まった。
「二条君は私のようなおじさんがこんな所に誘うのは嫌だったかな?」
「……いえ」
「良かった。ここくらいしか若い女の子が好む店は知らなくてね」
部長から見ると私は若い子なんだと思うと少し居心地が良くなった。
いつの間にか年下が増え、自分が年を取っていることを嫌でも気付かされる。
もう私は若くないんだと実感させられる。
でも、部長といれば私はまだ若いのだ。
部長はシェフに量を減らして、早めに料理を提供してもらうように依頼し、私達は暫く他愛ない話をしながら料理を堪能した。
そしてメインに差し掛かった時、部長は神妙な面持ちで話し始めた。
「二条君はいつも仕事を的確かつスピーディーに仕上げてくれるから私達はとても助かっているんだよ。営業事務は目立った仕事ではないが、営業がスムーズに仕事をするためには君たちの力がとても大切なんだ。それを気づいている人や感謝する人は少ないとは思うが、少なくとも私や課長は感謝している」
「ありがとうございます」
「少しでも二条君が仕事をしやすい環境を私は作りたいんだ。だから私の配慮不足で君が辛い思いをしているのなら無理はしないでくれ」
正直これまで仕事をしてきてこんなにも疎外感を味わった事はなかった。
自分から黒子に徹していたのとはわけが違う。
私への感謝と心遣いに自然と涙が溢れてしまっていた。
部長は私の頭を撫で始めた。
「大丈夫です」
部長に手を離してもらうため私が手をあげると部長はその手を握った。
「あの……」
「二条君」
そう言うと部長はとろんとした目で私を見つめてきた。