8つの怖い話
卒業生という話は本当みたいだ。


それよりも真紀には聞き捨てならないセリフがあって険しい表情になっていた。


「本を買えなくなったんですか?」


先生へ向けてそう聞くと、先生は一瞬しまった! という表情を浮かべた。


生徒に聞かれるべきことじゃなかったと判断したのだろう。


それでも真紀は話が聞きたかった。


「実はそうなの。最近では電子書籍で読む子供が増えてきて、本を借りる生徒が少なくなってきちゃったのよ」


「そんな! でも、紙の本は紙の本でいいところがありますよね!?」


まだ電子書籍を購入する機械を持っていない真紀は必死にすがりつく。


このまま図書室の本が購入できなくなってしまったら、新しい作品を読むこともできなくなってしまう。


先月までは新刊コーナーに10冊は並んでいたのに、今月はその半分の5冊になっていたので、気になっていたところだったのだ。


子供向けのいい新刊が発売されなかったのかと思っていたけれど、そういう理由があったらしい。
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