8つの怖い話
「大丈夫よ。本ならまた私が持ってきてあげるから」


そう言って真紀の頭をなでたのは江藤さんだった。


江藤さんは高い背を折り曲げてニッコリと微笑む。


「本当ですか? この図書室に持ってきてくれますか?」


「約束する。それに、本になっていない怖い話も沢山知っているから、あなたに教えてあげる」


そう言われて真紀はまばたきをした。


真紀はとにかく本が大好きだけれど、特別怖い話が好きというわけじゃない。


なのにどうして?


そう考えてから今自分が胸の前で抱きしめている本のことを思い出した。


そういえば都市伝説系の本を読んでいたんだっけ。


こういう本はちょっと不思議だったり、ちょっと怖い話が沢山のっている。


だから怖い話が好きだと勘違いさせてしまったみたいだ。
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