8つの怖い話
何十年も前に起こった事件だったけれど、身近に起こるかもしれない事件として語り継がれていて、それこそよくある都市伝説のようにみんなが知っている話だ。


これじゃダメだ。


直人たちが集めてきたような話とは全然違う。


予想外に収穫にならなくて大きなため息を吐き出したそのときだった。


「話はまだこれからよ?」


と、江藤さんが真紀の肩を叩いた。


「え? でも話はもう終わりの方ですよね」


事件の内容は真紀もある程度把握しているから、江藤さんの話が終わりに近いことはわかっていた。


代わり映えのしない内容にガッカリしたのだから、間違いない。


しかし江藤さんは左右に首をふり、今までにないくらい真剣な表情になった。


その表情の変化を見て真紀は思わずゴクリとツバを飲み込む。


「実はこの話には裏があってね……」


そう前置きをして語りだしたことはたしかに真紀が知らない内容だった。


「それ、本当のことなんですか?」
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