8つの怖い話
『少し遠いけど、海まで出てみない?』


提案したのは美聡だった。


海までは電車で3駅分いかなければいけない。


わたしたち小学生にとってはちょっとした冒険で、その提案に胸がドキドキした。


『そんなお小遣いないよ』


おずおずと言ったのは浩だった。


今月は好きな漫画が立て続けに発売されて、お小遣いを使い切ってしまったと、この前言っていたばかりだ。


『それならみんなで自転車で行けばいいじゃない?』


無邪気にそう言ったのは……しおりだった。


みんなの視線がしおりに集まる。


しおりは少し恥ずかしそうに目を伏せて、頬をピンク色にさせた。


『自転車って、しおり……』
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