8つの怖い話
☆☆☆

遊びに行く当日、わたしたちは約束通り自転車で集合した。


しおりの自転車は赤色で、さんざん練習したせいかカゴが少し歪んでいた。


それを見つけた実が『直してやる』と言って、力づくで歪みを直していた。


『さすが実、力持ちだね』


真紀の言葉に実は自信満々に胸をはっていた。


しおりのカゴの歪みが直ったところで、出発となった。


海までの距離は5キロほど。


自転車でなら、1時間もあれば到着できる予定だ。


途中に大きな駄菓子屋さんがあるから、そこに寄って休憩することにも決めた。


9人でサイクリングできる日がくるなんて思わなくて、心はとても浮かれていた。
青い空に白い雲。


友人たちが自転車を漕ぐ背中を見ながらも、自分も必死に足を動かした。


わたしの後ろにはしおりと浩がいた。


しおりはまだ自転車に慣れていなくて、歩行者とすれ違うときにふらついたりしている。


その度に浩が声をかけてあげていた。
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