8つの怖い話
代わりに、駄菓子屋に到着したときしおりは浩にジュースをおごってあげていたんだっけ。


どんどんと当時の記憶を思い出していく。


なつかしいと感じると同時に、鼓動が早くなっていくのを感じる。


更に自転車を漕ぎ続けて、坂道を登り始めた。


この坂を超えれば海が見えるとみんなが知っていて、だから自然と無言になった。


両足はもうクタクタで、本当は自転車を押して上がりたかった。


でもそれはできない。


頑張って自転車で登りきった先にある景色を、この目で見てみたかったから。


『しおり、大丈夫?』


キツイ坂道だから時々振り向いて声をかけた。


しおりは額に汗をにじませて『大丈夫だよ』と返事をする。


さっきまでしおりについて走っていた浩は男の子だから、先に追い越して行ってしまっていた。
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