8つの怖い話
そう思って彼はその日最後の仕事に向かったの。


「あれ? おかしいな。確かにここだよな?」


住所のある家に向かって彼は首を傾げた。


そこには確かに家があったけれど、草は生え放題で窓ガラスは割られているし、どう見ても廃墟だったんだって。


それでもう1度住所を確認してみたけれど、やっぱりここで間違いない。


彼は荷物を持って玄関へ近づいて行ったの。


「すみません。荷物をお届けに来ました」


声をかけても中から返事はない。


だけど、ためしに玄関ドアを開けてみると、開いてしまったんだって。


すぐに閉めようとしたんだけれどその直前に彼の手首は何者かによって掴まれていた。
< 230 / 248 >

この作品をシェア

pagetop