8つの怖い話
3段ほど階段を降りてロッカースペースに降りていくとそこだけ空気がよどんでいるような気がして、直人はまた寒気を感じた。


さっきまでの活気もなく、人の姿もほとんどない。


いつも自分が利用している駅とは別物のように感じられた。


「どのロッカー?」


前を歩く剛に聞くと、剛は一番奥のロッカーの前で足を止めた。


そこには大きな荷物でもかんたんに入るほどのロッカーがあるが、赤いテープで塞がれていて誰も使えないようになっている。


しかもそのテープはロッカー全体にグルグルと巻かれているのだ。


その異様な光景に直人は足を止めたまま動けなくなってしまった。


さっきまで感じていた寒気を更に上回る、まるで氷水を頭から浴びせられたような感覚に凍りついた。
< 25 / 248 >

この作品をシェア

pagetop