8つの怖い話
「先に言っておくけれど、これは本当にこの街で起こった出来事なんだ。それに、その現場は今でも残ってる」


直人の声は意識しなくても低く、怖いものへと変化していく。


全員がその声に耳を傾けて息を飲んだ。


「話を聞けばきっとそれがどこなのかわかってしまうと思う。だけど約束してほしい。絶対にその場には行かないって」


静かな声とともに生暖かな風が吹き抜けていく。


寒くないのに鳥肌がたち、セナは軽く身震いをした。


「わかった。行かない」


答えたのは真紀だった。


真紀も緊張しているのかさっきからおちつかない様子で手遊びを繰り返している。


「それじゃ話を始めるよ、タイトルは『ロッカーの中』」
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