8つの怖い話
☆☆☆

剛から聞いた話を語り終えた瞬間、また生暖かい風が8人の間に吹き抜けていった。


「これで、僕の話はおわり」


直人は大きく息を吐き出して緊張をほぐすように肩を回した。


それでも周囲の雰囲気は変わらず、話をしていたときと同じような重たい空気が流れていた。


まるで悪い気持ちが沈殿しているようだ。


「それ、現実なんだよな?」


和輝が普段見せないような怯えた表情を浮かべて聞く。


直人は頷いた。


「現実の話だよ」


「駅のロッカーでなにかあったってことは聞いたことがある。でも、そんなことだったんなんて」


浩が青い顔をして、震える声で言った。


体も小刻みに震えているけれど、気温が低いわけじゃない。
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