8つの怖い話
「ちょっと怖いと思うけど、でも大丈夫だよ」


そう答えるしかなかった。


みんなの前で自ら手を上げて明日は自分の番でいいと発言したんだ。


それでここまで来た。


なにも聞かずに帰るという選択肢は、セナにはなかった。


「そっか、それならいいんだけど」


それでも瑠璃子は少し躊躇しながら、ゆっくりと話しをしてくれた。


それはロッカーの話と同じでこの街で昔起きた事件のことだった。


話が進むにつれて瑠璃子の声が頭の中に響き渡り、四方八方から聞こえてくる気がする。


気分が悪くなってきて、体がずっしりと重たくなって、まるでこの場所に事件の関係者がいるのではないかと思うほど寒くなった。


「……っていう事件があったの」


30分ほどかけてすべてを話終えた瑠璃子は大きく息を吐き出していれなおした紅茶を飲んだ。


「どう? やっぱり聞きたくなかった?」
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