8つの怖い話
「なにその怖そうな本」


興味を持ったのは美聡だった。


美聡は自分の耳や目を使って怖い話を聞くのは苦手だけれど、活字なら大丈夫みたいだ。


「何年、ううん、何百年も昔から魔術は存在しているっていう本だよ」


「魔術?」


セナは首をかしげて真紀を見た。


今は降霊術の話をしていたはずだ。


「うん。その中には人間ではない何者かの力を借りて、人に呪いをかける魔術もある。呼び出す者が違っても、それで降霊術と似てない?」


そう言われればそうかもしれない。


悪魔でも幽霊でも、人間以外のものを呼び出すことには変わりないのだから。


そして人間は呼び出したその者を利用しようとしたり、会話しようとしている。


それってもしかして人間の傲慢さが原因じゃないだろうか?


セナはふとそんな風に感じて目を伏せた。
< 54 / 248 >

この作品をシェア

pagetop