虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
九条くんのマンションは、マンハッタンの5番街沿いの、夜の公園に面するように建っていた。
「ここだよ」
私と真理は顔を見合わせた。
マンションというより、高級ホテルのような外観だったからだ。
九条くんはその地下駐車場に、慣れた様子でクーペを停めて、私と真理を広いエレベーターホールに誘った。
52 階まで刻まれたエレベーターの50階に、九条くんの部屋はあった。
「遠慮はいらないから、自由にくつろいで」
ICカードをかざし、さり気なくドアを開く九条くんに続いて、私と真理もおそるおそる足を踏み入れた。
顔が映りそうに磨きあげられた床に、ふかふかの紅い絨毯。両脇のダークブラウンの壁には、趣味のいいアートや写真が掛けてある。
室内は暖かなウォールライトと、鋭いスポットライトが巧みに交差して、全てが心地いい。
ひたすらハイセンスでクリーン。
そして、
「理恵、気が付いた?」
真理が私の袖を引っ張った。
「このマンション、多分フロア占有型だよ。つまりこのフロア全部が、まあ兄のお部屋ってこと」
マンハッタンのミッドタウンの、フロア占有型の高級マンション。
一体いくらするんだろう……?