虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
高見澤さんを乗せた飛行機が離陸するのを見送ってから、私たちは解散した。
紫月さんは、事実上吸収合併する山井商事の残務整理のために、しばらく忙しくなりそうだと言っていた。
榊さんはそんな紫月さんに付き従って、彼女をサポートするのだろう。
篠原さんは紫月さんの元で、あのリチウムプロジェクトに携わることになるそうだ。
私のあの夢を、二人が叶えてくれると嬉しい。
そして私は、空港の建物に直結したホテルのショートステイを利用して、日が暮れるまで仮眠を取ってから、夜の8時発のハワイ行きに搭乗して、日本を離れた。
九条くんが特別に休暇を取って、ハワイで待っていると連絡をくれたから。
篠原さんからのSOSを受けて、慌ただしくニューヨークを発ってから10日も過ぎていないのに、随分と長く彼に会っていないような気がする。
私はビジネスクラスのフラットシートに身を委ねて、九条くんの優しい笑顔を思い浮かべながら、安らかな眠りに就いた。