虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
羽田からハワイのダニエル・K・イノウエ空港までは、約7時間のフライトになる。
東京港のキラキラした夜景の中を離陸して、ハワイの眩しい朝日に包まれて着陸する、光に満ちたフライトだった。
日本とハワイの時差は19時間。日本時間の日付を1日戻して、5時間を足すとハワイの時間になる。日本からニューヨークよりも距離が近いのに時差が5時間も大きいのは、ハワイの方が日付変更線に近いからだ。
時差調整の秘訣は、やはり飛行中の睡眠ということになる。
だんだん空の旅に慣れてきたのか、ぐっすり眠って、機内放送で目を覚ましたら、もう着陸まで2時間を切っていた。
窓の外に広がる太平洋と、大空の青さに包まれながら、考えるのは彼のことばかりだった。
早く、九条くんに会いたい。
機体が着陸して、ボーディングブリッジが横付けされて、空港ターミナルに移動して──。
入国審査の間も、私はずっとそわそわしていた。
バゲッジ・クレインで青いキャリーバックを受け取って、私はほとんど小走りになって、ゲートをくぐった。
ガラス張りの自動扉の向こうは、南国の力強い日差しが濃い影を差して、熱く艶やかな風が吹いていた。
九条くん、どこ?
私、来たよ。
あなたの元に、帰って来たんだよ──。
「理恵」
声のする方向に振り向くと、あの優しい笑顔が、ずっと会いたかった笑顔が、私を迎えに来ていてくれた。
私は「まあくん!」と声を上げて、背の高い彼の腕のなかに、飛び込んだ。