虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
真っ赤なコンバーチブルに乗って、私たちは空港からワイキキの中心の、クヒオ通りに移動した。
天気は快晴だった。
空は抜けるように青くて、街の色は強い日差しに映えて彩りが濃い。
身体も心も、解き放たれて行くような気がする。
「せっかくだから、ハワイらしいドレスにしようよ。それに、海に入るのに水着もいるよね」
そう言う九条くんは、鮮やかな青のアロハシャツに、白のハーフパンツを揃えていた。
丈の先から、鍛え上げられた腕と脚がしなやかに伸びて、思わず顔が赤くなってしまう。
「ねえ、まあくん」
私はコンバーチブルのハンドルを握る彼に、話しかけた。
「助けてくれて、ありがとう」
九条くんが私のために、世界有数の石油コンツェルン、シャキールを動かして、紫月さんや高見澤さんのような、心強い人たちに声をかけてくれた。
どれが一つ欠けても、私は田村部長に敵わなかったに違いない。
「俺は何もしていないよ」
九条くんは、笑って言った。
「それよりも、頑張ったね、理恵。紫月も直人も、理恵のことを褒めていたよ」
そんな、私の方こそ、何もしていないのに……。
どうしてだろう。
九条くんのそばにいるだけで、心が安らいで、優しい気持ちになってくる。
自然に、笑顔が溢れてくる。
そんな私の様子に気付いたのか、エンジンを切ってコンバーチブルから降りる前に、九条くんは急に私を抱き寄せて、唇にキスしてくれた。
「会いたかったよ、理恵」
もうその言葉だけで、涙が出そうになってしまう。