虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

婚約


 私たちはカハラの別荘に戻って、軽くシャワーを浴びてから、また愛し合った。

 私の左手の薬指には、ブルーダイヤを散りばめたプラチナのエンゲージリングが輝いている。何度もそれを陽にかざして眺めて、ニヤニヤしていた。

 嬉しい。楽しい。愛おしい。

 今この瞬間の想いを、全て記憶と身体に刻み付けたくて、私は何度も、彼に行為をせがんだ。

「甘えん坊だね、理恵」

「まあくんが、いけないんだよ」

 私に急に、プロポーズなんかして。
 嬉しくて、うきうきして、ひとときも彼と離れていたくない。
 
 私は自分から、私をたくさん愛してくれた彼自身を口に含んで、次の行為をせがんだ。

 私から愛されて、切なそうな声を漏らす九条くんが、たまらなく愛おしい。

 私はずっと、あなたのものだから。
 あなたもずっと、私を愛してね──。

 20年前、北関東のあの街で出会った私たちの想いは、今こうして、この楽園の島で実を結んだ。

 九条くんがまた、荒々しく私を組み伏せてくれる。
 
 私は悦びの声をあげて、彼の行為を受け入れた──。

 そして何度目かの頂きを越えて、私たちはシャワールームで水遊びをするようにお互いの身体を洗ってから、遅めの朝食を取った。

 いまさらだけど、あんなに愛し合った後だと、お互いの顔を見るのも照れくさい。

 九条くんが顔を真っ赤にしたまま、視線をそらし気味にして、言った。

「実は、理恵に会ってほしい人がいるんだ」
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