虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
メイクを終えてしばらくすると、九条くんが戻ってきた。
「お待たせ、理恵」
その姿に、目を奪われてしまった。
九条くんは紺色に金のバッジと、袖と肩章に金の三本線が縫い取られた、大日本航空の制服に着替えていた。
やっぱり九条くんには、パイロットの制服がよく似合う。
背が高くてすらりと手足が長い九条くんが、ストイックできらびやかなパイロットの制服に着替えると、この制服は九条くんのためにデザインされたんじゃないかって思うくらいに、しっくりくる。
思わず私は、パイロット姿の九条くんに見惚れてしまった。
そんな私に九条くんは、
「お化粧直したの、理恵。可愛いよ」
ちゃんと気付いて、優しく微笑んでくれる。
九条くんのそんなところが大好きだけど、今日はちょっとだけ、憎らしい。
「ありがとう」
私は努めて明るく振る舞って、九条くんの腕を取った。
「フライトシミュレーター、すごく楽しみだな。でも私は、見てるだけなの?」
「──理恵も、操縦してみる?」
制帽の庇の陰から、九条くんのいたずらっぽい目が私を見ていた。