虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 九条くんの説明は続いている。

「これがスラストレバー。エンジン出力を制御するレバーで、前に倒すとパワーが上がって、後ろに引くとパワーが下がる」

 九条くんは、左右の操縦席に挟まれた、センターコンソールの、一組のレバーを指差して言った。

「で、そのスラストレバーと一緒になっているレバーが、リバーサー。逆噴射のレバーだよ」

「逆噴射なんていつするの?」

 私はびっくりして訊いた。

「もちろん飛行中にそんなことしたら墜落しちゃうよ。着陸した後に機体を止めるために使うんだ」

 九条くんはまた笑って、説明を続ける。

「スラストレバーの横の、理恵の側に付いているのがフラップレバー。離着陸の時に使う。そしてこれがギアレバー。飛行中にタイヤをしまうレバーだけど、フラップとギアの上げ下げは、俺がやるから」

 パイロットって、考えていたよりずっと大変。なんか私、話についていけなくてぼうっとしてしまう。  

 そんな私の様子を見て、九条くんはまた優しく微笑んだ。

「長い説明でごめん、理恵。じゃあそろそろ始めようか」

 そして九条くんは、ハッチの外で待っていたスタッフに「ありがとうございます、始めてください」と声をかけた。

 ハッチが閉じられ、シミュレーターが低い唸りを響かせながら、起動した。
< 159 / 235 >

この作品をシェア

pagetop