虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
滑走路に着地してすぐに、九条くんはスラストレバーの前のリバーサーレバーを倒した。
ゴオッとエンジンが唸って、逆噴射が作動する。何か大きな力で掴まれたように速度が落ちていった。
九条くんは管制官と盛んにやり取りしながら、滑走路の端まで来ると、右に大きく曲がって機体を誘導路に入れた。
後は誘導路を進んで、機体を空港のターミナルに寄せるだけ。
「お疲れさま、理恵。初めてのコクピットはどうだった?」
「……すごかった」
本当に、それしか言葉が出ない。
「ジェット機は複雑で速くて、空は青くて果てしなくて、空から見下ろす地表は、本当に地図で見る通りの形をしていて……」
私は大きく息を吐き出して、答えた。
「すごく綺麗で楽しかった。パイロットって、本当に素敵なお仕事だね」
九条くんはにっこり微笑んで、スラストレバーの上に置いたままの私の左手に、自分の右手をそっと重ねてくれた。