虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
ニューヨークに戻った私は、フライトに赴く九条くんを見送ったあと、彼には内緒である人に連絡を取った。
「そろそろ来る頃だと思ってたよ」
待ち合わせたオープンカフェで、高見澤さんはそう言いながら、マグカップにたっぷり注がれたブラックコーヒーに口をつけた。
「私がなぜご連絡したか、おわかりなんですか?」
「俺が九条から、何を頼まれてたのか知りたいんだろう?」
高見澤さんは、あっさりと言った。
瑠美おばさんのお話と、帰りの飛行機での九条くんの告白。それと九条くんの高見澤さんへの「頼み事」が、私の中で繋がるのにそれほど時間はかからなかった。
「そのとおりです、高見澤さん」
私は言った。
「九条くんのお父さんの遭難について、何かご存知のことはありませんか?」
高見澤さんは、一瞬視線を宙に泳がせて、
「全く、なんで九条の周りにはこんなに、勘のいい女ばかり集まるのかな……」
そう呟いた。
「その言葉、私と同じ質問をされた方が、他にもいるみたいですね」
「紫月だよ。あいつには御倉の情報網があるからな、断片的な情報から自分なりに推論して、俺に訊いてきたことがある」
「……」
「それともう一人、これは訊ねられたわけじゃないが」
高見澤さんは、驚くべき人の名前をあげた。
「九条のおふくろさんだよ。あの御方は誰に教えられたのか、ほぼ真相をご存知のようだ」
瑠美おばさん、どうして──?!