虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 ニューヨークに戻った私は、フライトに赴く九条くんを見送ったあと、彼には内緒である人に連絡を取った。

「そろそろ来る頃だと思ってたよ」

 待ち合わせたオープンカフェで、高見澤さんはそう言いながら、マグカップにたっぷり注がれたブラックコーヒーに口をつけた。

「私がなぜご連絡したか、おわかりなんですか?」

「俺が九条から、何を頼まれてたのか知りたいんだろう?」

 高見澤さんは、あっさりと言った。

 瑠美おばさんのお話と、帰りの飛行機での九条くんの告白。それと九条くんの高見澤さんへの「頼み事」が、私の中で繋がるのにそれほど時間はかからなかった。
 
「そのとおりです、高見澤さん」

 私は言った。

「九条くんのお父さんの遭難について、何かご存知のことはありませんか?」

 高見澤さんは、一瞬視線を宙に泳がせて、

「全く、なんで九条の周りにはこんなに、勘のいい女ばかり集まるのかな……」

 そう呟いた。

「その言葉、私と同じ質問をされた方が、他にもいるみたいですね」

「紫月だよ。あいつには御倉の情報網があるからな、断片的な情報から自分なりに推論して、俺に訊いてきたことがある」

「……」

「それともう一人、これは訊ねられたわけじゃないが」

 高見澤さんは、驚くべき人の名前をあげた。

「九条のおふくろさんだよ。あの御方は誰に教えられたのか、ほぼ真相をご存知のようだ」

 瑠美おばさん、どうして──?!
< 173 / 235 >

この作品をシェア

pagetop