虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
本当はペンキは、生乾きの時に触れては駄目で、乾き切ってからスクレーパーで削るか、溶剤を希釈して、少しづつ溶かすようにして拭わなければいけないのだけど、小学生の私たちは、そんなこと知らなかった。
溶剤も、薄めずにそのまま使うと強すぎて、地の塗装を痛めてしまうことも知らなかった。
それに、溶剤を扱うときにはペンキ作業用の手袋をしないと、手の皮がぼろぼろになってしまうことも。
九条くんと私が、二台の自転車についたペンキといたずら書きを消し終えた頃には、もう日が傾きかかっていた。
ペンキは落ちたけど、九条くんの自転車も正隆おじさんの自転車も、塗装が傷だらけになってしまった。
私たちの手も、ぼろぼろだった。
私のお気に入りのワンピースは、溶剤が跳びはねて、あちこちシミだらけになっていた。