虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
朝の光を感じて目を覚ました。
手をかざして薄く目を開けると、大きな窓ガラスの向こうに、抜けるような青空が広がっている。
(そうだ、私──)
跳ね起きて見回すと、広いリビングに私は一人で、ローソファーに寝かされていた。
身体には、昨夜のブランケットがそのまま掛けられていた。
はっとして自分を確かめてから、軽く溜息をついた。
九条くんは何処だろう。
私を寝かしつけてから、一人で自分のベッドで眠ったんだろうか。
ぼんやり外を眺めると、高く連なる摩天楼の群れに混じって、いつか映画でみたエンパイアステートビルの先の部分が顔をのぞかせていた。
ここはニューヨーク、マンハッタン5番街の地上250メートル。まだ夢の続きを見ているような気がする。
あらためて身体を起こすと、両脚をローソファーからおろして、軽く背伸びをした。
「理恵、起きてたのか?」
振り向くと、バスローブに身を包んだ九条くんが入ってきた。
「少しは眠れた?」
と私を気遣う彼に、
「まあくんは、眠らなかったの?」
「これから眠るよ。明日の夜、成田行きに乗務するから、時差を調整したかったんだ」
シャワーを浴びていたらしい彼の首筋に、水滴が朝日を受けて、キラキラ輝いていた。