虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
「でも、その前に朝ごはんにしようか。真理ちゃんを起こしてきてくれる?」
私はうん、と頷いて、リビングの外に出ようとした。
「あのさ、理恵」
急に九条くんが声をかけてきて、そして囁くように、
「俺、何もしてないから」
彼も真っ赤だったけど、私も顔から火が出そうで、慌ててリビングから飛び出した。
来客用の部屋に戻って、ねぼすけの真理を起こして、顔を洗って軽くメイクを整えて、服に着替えてダイニングに行く頃には、もう朝食の準備が出来ていた。
パーティーでも開けそうな広さのダイニングに、本格的なオープンキッチン。
グリル、オーブンとシンクが一体化したキッチンカウンターは、そのままテーブルとしても使えるようで、脚の長いスツールが人数分並べられていた。
「ありきたりだけど、どうぞ」
そう言って九条くんが用意してくれたのは、昨夜とはうって変わって、オーソドックスなニューヨークスタイルの朝食だった。
オランデーズソースたっぷりのエッグベネディクトとグリルソーセージ。スモークサーモンを添えたグリーンサラダは、さわやかなフレンチドレッシングで彩られていた。色とりどりのピクルスも、見ているだけで楽しくなってくる。
そして、カップには暖かなオニオンスープと、たっぷりのコーヒー。
「わあ、豪華だね。まあ兄、お料理上手だね」
真理がうきうきした感じで言う。
ちょっと得意げな九条くんが、なんだか可愛いかった。