虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
私は住込みのハウスキーパーのはずなのに、その家の住人に歓待されて、手料理までふるまわれている。
まるでシンデレラが魔法使いの力を借りて、王子様とワルツを踊ったように。
九条くんはなんで、こんなに私に優しくしてくれるんだろう。
私が、幼馴染みだから?
それとも──。
食事を終えて、あのガラス張りのリビングで、私と九条くんはあの晩のように、ローソファーに並んで腰掛けて、マンハッタンの夜景を眺めていた。
食事の間は、真理のハーレムでの暮らしぶりなんかを話題に、二人とも無邪気に笑いあっていたのだけど、明かりを落としたこの場所で、光が溢れる夜景を眺めていると、自然に口数が少なくなってくる。
九条くんは、ときおりウィスキーのロックを口に運びながら、静かに外を眺めている。
私のカシスソーダは、彼がリビングの隅のバーカウンターで、慣れた手付きで作ってくれた。
なんでもできる、スーパーマンみたいな九条くん。
耳の奥で、ダイニングでBGMにかけた、ディズニーの優しい音色がリフレインしていた。