虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 御倉グループは、かつては御倉財閥として日本の経済を支配してきた。財閥の名が過去のものとなった今も、御倉の名を引き継ぐ企業がそれぞれの産業の中核として君臨し、創業者一族の持株会社を頂点として強固な企業連合を形成している。
 中堅商社のOLだった自分ですら、業界最大手の御倉商事は、畏怖と羨望の対象だった。
 
 目の前の紫月さんが、その超巨大企業グループの当主の孫娘だなんて。

 そして、資産9,000億円と言われた九条くん。

 私は、夢でも見ているのだろうか。
 頭の奥がぐるぐるして、今にも倒れてしまいそうだった。

「黙っていて悪かったよ。時期をみて話そうと思っていたんだ」

 九条くんは私を見つめて、小さく頭を下げた。

「紫月の言うとおり、今の俺には馬鹿みたいな財力がある。でもそれは全部、俺の力で得たものじゃ無いんだ」

 そしていきさつを語り始めた。
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