虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
九条くんと瑠美おばさんは、別々に日本を離れた。
瑠美おばさんは、ドバイにあるシャキールさんの宮殿のような邸宅に入り、九条くんはニューヨークからほど遠くないアメリカの東海岸の、中高一貫の全寮制寄宿校に入った。
「紫月とは、その学校で一緒だったんだ」
九条くんの言葉に、紫月さんがうなずいた。
「懐かしいわね。よく覚えてるわよ、あの頃のこと」
紫月さんによると、そこは全米でもハイレベルで有名な私立校で、世界中から留学生が集まる名門だったのだとか。
「日本からの留学生もいるにはいたけど、ほとんどは高校からの編入で、最初から入学する日本人は珍しかったから、私も正臣のことは早い頃から知っていた」
でも、その頃の九条くんは、
「ものすごく優秀でスポーツも万能だったけど、いつも一人で本を読んでいて、クラスでも変わったヤツって思われてたわね」
人付き合いを避けるような九条くんに、紫月さんも最初は距離を取っていたけど、あるときニューヨークの高級ホテルで行われた御倉グループ主催のパーティーに出席してみたら、招待客の中に九条くんの姿があった。
「そこで知ったのよ。正臣がドバイのシャキールの縁者だって」
「たまたま空いている人がいなくて、俺が代わりに行かされただけだ。ただの小間使いだよ」
九条くんに興味を覚えた紫月さんは、御倉の本家を通じて九条くんの身元を照会させた。
それが以外な結果を生み出した。
「御倉から問い合わせを受けたシャキールが、俺と紫月の婚約を持ちかけたんだ」