虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
行くなっ!
「正臣。何をむきになっているのか知らないけど、あなたにパイロットなんて似合わない。あなたは私と一緒に、日本経済の舵取りをするべきなのよ」
「俺はパイロットだしそれ以外のものになるつもりはない。俺のことを勝手に決めるな」
九条くんと紫月さんの交わす言葉が、がんがんと頭に響く。もう耐えられない。
「やめて!」
思わず両耳を塞いで、私は叫んでいた。
数秒の空白の後、言葉を呑んで私を見つめる九条くんと紫月さんに、
「ごめんなさい、頭が痛くて……。部屋で、休んでいます」
そう言い残すと、足早にリビングを出た。
「理恵」
九条くんが私を呼ぶ声がしたけど、振り返らずにリビングを飛び出した。
涙に気付かれる前に、私は自分の部屋に駆け込んでドアに鍵をかけて、ベッド倒れ込んだ。
仰向けに寝返って天井を見つめるうちに、涙が溢れて、頬を伝った。