虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
ウィンドウショッピングに疲れると、私たちは通りを折れて、オープンスタイルのカフェ・スペースで一休みした。
輝くブロンドが美しい店員に、私はミルクたっぷりのラテを、九条くんはアメリカーノを注文した。
ちなみに、アメリカーノってライトに淹れたコーヒーのことじゃなくて、エスプレッソをお湯で割ったコーヒーのことなんだって、九条くんが教えてくれた。
「綺麗だったね」
暖かなラテを口に含んで、うっとりと呟く私に、
「理恵、ペアリングが気になってたみたいだね」
九条くんが笑顔で言った。
「うん……」
私は赤くなった。
シルバーの環に、晴れた空のように透き通った青いサファイアを埋め込んだペアリング。
九条くんと二人で、付けられたらなあ……なんて。
でも、男の人がそれほど指輪を好まないことも知っている。
それに、お金持ちの九条くんが身に付けるには、安過ぎるかも。
いいよね、今日は。
こうして九条くんといるだけで、幸せだから。
「理恵」
急に九条くんが声をかけてきて、きょとんとしている私の前に、
「買っちゃった、ごめん」
さっきの店の、青色の箱を置いた。
びっくりして開けると、中にはあの、シルバーのペアリングが──。
「勝手なことしてごめん。俺も、理恵と同じリングを付けたいなって、思って」
九条くんが顔を赤らめて、照れ臭そうに視線をそらしながら言う。
「……ばか」
私は軽く涙を拭うと、彼ににっこりと微笑んでみせた。