虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
そしてようやく、チャイムが鳴った。
モニターに映し出された姿を見て驚いた。そこに立っていたのは、このあいだいきなりやってきた、長髪の日本男性だった。
「待たせたな、九条」
「遅いぞ直人。すぐに降りて行く」
私のキャリーバッグを引いてエレベーターのタッチパネルを押す九条くんに、
「まあくん、あの方は……?」
「高見澤直人。俺のミドルスクール時代のクラスメートで、今はこの街で探偵事務所を開いている」
と言うことは、あの紫月さんともクラスメートになるはずだけど、随分と雰囲気が違う。
「大丈夫。あんななりだけど、やる事はきちんとやる奴だから。特に今回みたいな件は……」
九条くんはそこまで言って、言葉を濁した。
エントランスホールに着くと、高見澤さんはこちらに歩いてきて、私に右手を差し出した。
「初めまして……ではないけど、あらためて。高見澤直人です」
すこし人を食ったような雰囲気があるけど、九条くんお墨付きの探偵さんだ。
「よろしくお願いします、高見澤さん」
私も右手を差し出して、握手した。
「よし、じゃあ早速行くとするか」
高見澤さんはニヤリと笑った。
「助平な上司を、ぶっ飛ばしにな」