虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

闇を払って


 ニューヨークから羽田までは、14時間以上のフライトになる。羽田や成田からニューヨークに向かうより1時間半以上長くなってしまうのは、東から西に飛ぶ場合、地球の自転に逆行する、つまりジェット気流に逆らって飛ぶことになるからだ。

 九条くんは長時間のフライトにさらされる私たちを気遣って、スイートクラスのチケットを手配してくれた。

 スイートクラスは食事もサービスも豪華だけど、特にありがたいのは、ボックスタイプでプライバシーが確保されることと、足を伸ばして横になれることだった。
 
 でも、プライバシーが確保されると言うことは、フライト中に高見澤さんに相談や、質問もできないことを意味している。

 高見澤さんはその辺の事情がよく分かっていて、空港に向かうまでの車中で、私に細々と説明や注意をしてくれた。

「フライト中はとにかく身体を休めるように。向こうに着いたらすぐに行動開始だ」

「私は何をすればいいんですか?」

「まずホテルの部屋で縮こまっている、あんたの後輩を安心させてやってくれ。その後は、追って指示することになる。まあ、対決の瞬間までは、あんたの手を煩わせるつもりはないがな」
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