虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 フライトも4時間を経過して、夕食も食べ終えた。そろそろ眠らないと、東京に着いてからが辛くなる。

 ファーストクラスの他の乗客たちは、馴れた様子でボックスシートの扉を閉じて、それぞれくつろいだり、眠りに就いたりしている。
 なのに私は目が冴えてしまって、なかなか寝付けない。

 神経が昂ぶって、不安が抑えられない。
 シーツに包まったまま、何度も寝返りを打った。

 ふと九条くんにもらった、ブルーダイヤのペンダントを思い出した。

 サイドボックスを開けると、他の貴重品類と一緒に、ブルーダイヤのペンダントが静かに眠っている。

 ペンダントを手に取って、読書灯を点けて照らしてみた。
 細かく磨かれた碧いダイヤの中で、読書灯の光が複雑に交差して、息を呑むような輝きを作り出している。

 その輝きを眺めていると、少しづつ気持ちが落ち着いてきた。

『理恵、大丈夫だよ』

 耳元で、九条くんの声がしたような気がした。

『どんな理恵も、愛しいから』

 いつも私を優しく包んでくれる、九条くん。 
 彼の眼差しを碧い輝きに重ねるうちに、瞼が少し、重くなってきた。

(ありがとう、まあくん……)

 私はペンダントをサイドボックスに戻すと、読書灯を消して瞼を閉じた。

 機体の微かな振動を感じながら、私はいつの間にか、深い眠りに落ちていた。
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