虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
ルームサービスを取って三人で夕食を済ませた後、広いリビングでお茶をしながら、私たちは今後のことを話し合った。
「先に確認しておきたいんだが」
高見澤さんが言った。
「何を目標にする?」
「目標……ですか?」
唐突な問いかけに、篠原さんも私も、うまく答えられない。
「だから、さ」
高見澤さんは長髪をかき上げながら、
「元々ここに来た理由は、嬢ちゃんを助平上司から救うことだった。だからこちらの最低ラインの目標は、奴にこれ以上、嬢ちゃんに手出しをさせないようにすることになる」
「……」
「そこに加えて早川さん、あんたが奴に何を望むかだ」
「私、は……」
私は、田村部長の破滅を望んでいるのだろうか。それで、私にまとわり付く黒い影が消えるのだろうか。
でも田村部長との間に、会話が成立するとは思えない。当然謝罪なんて、求めるだけ無駄だろう。
目を閉じて、胸に手を当ててみた。
指先に、九条くんから貰ったブルーダイヤのペンダントが触れた。
そして私は、言った。
「私は田村部長に、愛する人ができたと伝えたい。私は人形じゃない。人を愛して、人に愛される、一人の人間だと伝えたい。もう二度と、誰かの人形になんかにはならないって……」
「先輩……」
「田村部長には伝わらないでしょう。でも、いいんです。私が私のために、宣言するだけですから」
高見澤さんは軽く目を閉じて、私の話を聞いていた。
そして目を見開いて、
「わかった、その線でいこう」
そう言った後に、急に人の悪そうな笑みを浮かべて、付け足した。
「一発ド派手な花火をぶち上げた後に、な」