虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
それから、高見澤さんは持参したパソコンをインターネットに繋いで、忙しそうに作業を始めた。
時折スマホで誰かと話をしているけど、ネイティヴスピードの英会話の上に聞いたこともない専門用語や略称が混じって、私や篠原さんにはほとんど内容が分からない。
ここは日本なのに、どこの誰と話をしているのだろう。
「何をなさっているんですか?」
篠原さんが訊いてみた。
「武器集めさ」
高見澤さんはディスプレイを見たまま、素っ気無く答える。
「何かお手伝いできることがありますか?」
私も訊いてみたけど、
「よく食べてよく寝て、たまに俺に美味しいコーヒーを淹れてくれ」
作業を始めた高見澤さんは、始終こんな感じだった。
顔を見合わせるだけの私と篠原さんだったけど、翌日、高見澤さんから渡されたペーパーを見て驚いた。
「奴とのやり取りをシミュレートしてみた。後でロールプレイしてみよう」
その内容の緻密さに、私たちは舌を巻いた。
三日目の朝、高見澤さんは「夕方には戻る」と言って部屋を出て行った。
その後姿を見送った篠原さんは、
「高見澤さんって、すごい人ですね」
と、ため息を付きながら呟いた。
そしてその日の夕方、高見澤さんは満面の笑みを浮かべて戻ってきた。
「スペードのエースを手に入れたぜ」
そして私たちに、言った。
「仕掛けにもう一日要るが、これで用意は整った。明日の夜、奴と決着をつけよう」