告白までのカウントダウン
ボタンを外してくれたおかげで掴みやすくなった学ランの左胸辺りを掴み、左手で右腕を掴む。
170センチある私でも見上げる形になる海先輩と組むと、自分の背の高さを忘れてしまう。
…柔道着で練習しているときは特に意識しなかったのに。
私より高い背、厚い胸板、柔軟剤の少し甘い匂い。
学ランの海先輩に触れると、全部前より強く感じてどきどきしてくる。
「…じゃあ背負い投げで」
「はいよ」
向き合った姿勢から足を引き、くるっと回転し海先輩を背負う。
そして、投げずにまた向き合う形に戻る。
「いち」
「に」
「さん」
打ち込みの動作を繰り返す度に海先輩の数える数字が増えていく。