Gentle rain
改めて兄さんに顔を覗かれると、本当に困ってしまう。

兄さん、中性っぽい顔立ちしているし。

実際、下手なアイドルよりもカッコいいし。

亡くなったお母さんに、似たからなのかな。


「もしかして、この前のバイトの話?」

私の中で、“チャンス”っていう声がかかる。

「あっ、あのね。その話なんだけど……」

「決まらなかったんだろ?」


兄さんの返事に、私は言葉が詰まった。

「無理する事はないよ、美雨。」

「どうして?」


優しい兄さん。

けれど、私の事を何でも知っているかのように、話を遮られると、とても虚しく感じる。


「まだ大学生だろ?バイトなんてしなくたって、小遣いが足りなければ、俺が出すから。」

私は“ううん”と首を横に振った。

「美雨?」

「私、やりたい事があるの。」
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