Gentle rain
両親が亡くなってから、懸命に私を守ってくれた兄さんだけれども、私は兄さんに甘えて、自分の人生を失いたくない。

「将来、お店を持ちたいの。」

「店?」

兄さんが顔を歪めた理由は、なんとなくわかる。

自分も会社を持っていて、お店を経営すると言うことが、どんなに難しい事なのか、知っているからだと思う。


「ほら!私、小さな小物とか、食器とか集めるのが好きでしょう?だから、そういうのを扱うお店を開きたいの!」

「雑貨屋って事?」

「うん……」

食べる事を止めて、足を組んだ兄さんは、机をトントンと指で叩きだした。

兄さんの考えている時のクセ。


「美雨がそう言うのなら、応援しないわけでもないけど。」

「本当?よかったぁ。私ね、雑貨屋さんになるのが、小さい頃からの夢だったの!」
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