Gentle rain
兄さんに、私のやりたい事を分かってもらえた嬉しさに、思わず両手でスプーンをギュッと握った。

「その代わり、ちゃんと勉強もすること!いいね。」

「は~い。」

私は“わかってます”って顔で、渋々右手を上げた。

そのリアクションが余程面白かったのか、兄さんは額に手を当てながら、ずっと笑っている。

「もう。いつまで笑ってるの?兄さん。」

「ああ、ごめんごめん。」

謝りながらまだ笑い続ける兄さんだけれども、正直兄さんに笑顔が戻って、私は嬉しかった。


そんな兄さんの笑顔をかき消すように、携帯がけたたましく鳴った。

「どうした?」

すぐ電話に出た兄さんは、私が目の前にいるのに、『うん、うん。』と、電話の向こうの人の話を聞いている。

「わかった。また明日。」


短い電話を終えて、兄さんは携帯を、テーブルの上に置いた。
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