Gentle rain
「はい。」

そう言って俺は、引出しの中に入っているファイルに、森川社長の書類を挟んだ。


あれから美雨とも、一緒の時間を過ごしている。

歳が15も違うと、話が合うかなと思ったが、それはお互いの努力で何ともなるらしい。

仕事も恋愛も、これ程うまくいく時があるものなのか。

そんな事を思うまでに、俺の人生はうまくいっていたのかもしれない。


森川社長の担当者だと言う方は、意外にも次の日に、この会社に来てくれた。

「森川の代わりで参りました。森川菜摘と申します。」

来たのは、森川社長のお嬢様の菜摘さんで。

俺は菜摘さんに会うのは、あのパーティーの夜に、キスを交わして以来だった。

「お元気そうですね。」

「菜摘さんこそ。お元気そうでなによりです。」

次の日に送られてきたメールに返事をしてから、菜摘さんとは連絡をとっていない。
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