Gentle rain
だがそれを敢えて口には出さず、お互い仕事をする様は、さすがに、仕事ができる女という印象を、菜摘さんは俺に与えた。

「早速ですが、企画会議は来週の頭に、当社で行いたいと……」

「企画会議?」

共同制作でもないのに、会議なんて持つ必要があるのか?

「今回は協賛という形で、御社に製品をお願いしておりますが、実際は御社の製品を全面に押し出していこうと思っております。」

思いがけない提案に、俺は言葉もなかった。

「それは菜摘さんの考えですか?それとも森川社長の?」

「両方ですわ。」

菜摘さんが耳元の髪を掻き上げると、リングになっているピアスが揺れた。


「私も父も、階堂社長の実力を、高く買わせて頂いているんですよ。」

そう言われると、悪い気はしない。

「わかりました。そう言って頂けて、感謝致します。」
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