Gentle rain
「……仕事?」

「うん。」

それにしても、あまり厳しい顔をしていなかったなって思うのは、私がまだ社会人じゃないから?

「何、疑ってんの?」

「えっ!?」

なぜか私の考えがバレバレの事に、動揺する。


「だって、もしかしたら彼女さんからの電話かなって、思ったり!」

「違う違う!本当に仕事の電話だよ!!」

そんなに全力で否定されると、返って疑ってしまうのは、なぜなんだろう。


「俺の事よりも美雨は?」

「私?いないいない!!」


思いがけない返しに、今度は私が全力で否定する。

あっ、今。

兄さんの気持ちが、少しだけわかったような気がする。


「大学生だったら、キャンパスの中に男なんて、たくさんいるだろうし。合コンとかもあるだろう?」

「う、うん……」

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