Gentle rain
「僕とですか?」

夏目は大きな目を、パチクリさせている。

「ご冗談。そんなに僕への気遣いは不要ですよ。」

「なぜ?」

即座に聞き返した俺に、夏目は新しいシャンパンを、渡してくれた。

「もちろん、お会いしたのは今日が初めてなので、僕はあなたの人となりを、全て知っているわけではありません。だがお見かけしたところ、僕よりも随分年上の方のようですし、ここ数年で事業を始めたばかりの方ではなさそうだ。当然、僕が意見を述べたところで、あなたに敵うはずがない。」

「へえ……」


彼の人を見る力は、俺の想像を遥に越えていて、それは益々“夏目太我”という人物を浮き上がらせるのは、十分な能力だった。


「君、いくつだっけ?」

「僕ですか?20です。」

「参った。俺は君より一回りも年上だが、持ってるポテンシャルは、君の方が上だよ。」
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