Gentle rain
休日もなかなか取れないとも言っていたけれど、今も休み無く働いているのか。


それと……

夏目の家で見た、綺麗な妹さんのこと。


俺は頭を、左右に激しく振った。

綺麗だからと言って、なんだと言うんだ。

元々夏目の家は、親が社長だったのだから、あの兄妹は金持ちの子供なんだ。

社長令嬢は金がかかっているんだから、綺麗なのは当たり前だろう。

自分の中に、訳のわからない想いが渦巻く。


「階堂君。」

呼ばれてハッとした後、顔を上げた。

「森川社長……」

俺は久しぶりに見る顔に、心が浮き立つ。

「相変わらずいい男だな。」

「何を仰るんですか。自分よりもいい男なんて、他にたくさんいますよ。」

高らかに笑った年配のこの方は、森川さんと言って家具を扱う会社の社長だった。
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