Gentle rain
「社長。こちら、お口に合うかどうかわかりませんが。」

森川社長のペースに持っていかれる前に、俺は手土産を社長の前に差し出した。


「これは気を遣わせてしまったね。」

「とんでもない。」

ニコッと笑った森川社長は、中身を見ると一つの小瓶を取り出した。

「ほう。これは美味そうなピクルスだ。」

「ウィスキーのあてに、どうかなと思いまして。」

「さすがだね。」

一言そう言った社長は、奥から誰かを呼んだ。


出てきたのは、社長の奥さんにしては、あまりにも若い女性だった。

「菜摘。これを皿に盛って来てくれ。」

社長は、箱から出したばかりのピクルスの小瓶を、その女性に預けた。

「はい。」

「それと棚の奥にあったジャックダニエルを、持ってきてくれ。」

その女性は、ちらっと俺を見るとその小瓶を持って、奥に引っこんでしまった。
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