Gentle rain
「菜摘さんが言う通り、恋愛って難しい。どんなに愛し合っていても、近くにいれば燃え上がるし、離れれば冷めてしまう。」

「階堂さんって、本当に面白い方ね。」

今度の菜摘さんは、いたずらにクスクス笑いだした。

「父があなたを気に入っているのが、なぜだかわかりました。」

「それはどうも。」

そんな事に興味はないが、とりあえずお礼は言っておく。

「ああ、なんだかワクワクしてきちゃった。」

どんでもない事を言い出すなと、思った。


「どうしてですか?」

「だって階堂さん、モテそうだと思うのに、どこか恋愛に冷めていて。そんな階堂さんを熱くさせる女性って、どんな人なのかなって考えたら、途端にワクワクしてしまって。」

「そうですか?」

恋愛に冷めていると言われて、ため息をついた。

確かにそうだ。
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