Gentle rain
「驚いた。美雨ちゃん、こんなところで何をしてるの?買い物?」

あまりにも自然に聞かれたから、思わず“はい”って言いそうになっちゃった。

「あの……」

「ん?」


階堂さんはずるい。

その目で見つめられると、何も言えなくなってしまう。


「もしかして、ここで働いているの?」

階堂さんに、先に答えられてしまって、私は仕方なく『はい。』と返事を返した。

「そうなんだ。いつから?」

「……2週間前からです。」

「へえ。もう仕事は慣れた?」

「はい。」


ありきたりの会話。

今はそれだけでも嬉しい。


「そうだ。知人の誕生日のプレゼント探しているんだけど、美雨ちゃん、何かいい物ないかな。」

「誕生日……プレゼントでございますか?」

あっ、今の言い方、店員として失格だわ。

私は慌てて口に手を当てた。
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